長谷川町子美術館等から訴えられないのだろうか。
他人のことながら、本書を読みながら常に筆者を心配に思ったものである。公的保険の主な支給事由は負傷、疾病、死亡、障害、失業といった不幸な出来事である。ポジティヴなものといえば出産くらいであろうか。
したがって、こうした支給事由をストーリーに入れ込もうとすれば必然的に本の内容は暗い話題で溢れることとなる。「サザエさん」でお馴染みの、磯野家、フグ田家、波野家、いささか家の四つの家庭に次々と不幸が訪れる。未読の方のために内容を記すことは避けるが、フィクションだと分かっていても幼い頃に「サザエさん」を見て育った実としては少し複雑な心境である。
しかし、社労士を受験する上での学習教材としては素晴らしい。
特に私のような初学者にとっては本当にありがたい。というのも、社労士の受験科目はあまりに多く、それぞれの科目を学ぶだけでは科目を横断した理解を進めづらい。とりわけ、幸運にも公的保険の支給事由がほとんど生じたことがない私のような人間にとっては、具体的なイメージがなかなか湧かないのである。ために、性別、年齢、家庭状況といった特性が明確なキャラクターが織り成すストーリーを読みながら学べることのメリットは私にとって大きかった。
さらに、本書が出版されたのは今年の3月であるために、最新の法改定が反映されている。私が気づいた唯一の不足箇所は、P.141にある再就職手当の説明に特例の内容が反映されていない、ということぐらいである(ただし、私の読み落しがあるかもしれないので、気づいた点があったらぜひ教えていただきたい)。
社労士受験を目指す方、公的保険について理解しておきたい方へお勧めしたい一冊である。私は、八月末まであと一・二回は読み直すこととなりそうである。
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