キャリアやワークスタイルといった領域のトレンドを俯瞰する上で、本書は最適なテクストであろう。簡潔に、読み易く、テーマが網羅的に整理されている。換言すれば、新しいキャリアや働き方を学術的に深掘りするためには、本書を手引きとしながら、それぞれの著者をはじめとした書籍を紐解くことをお勧めしたい。
ここでは三つの記事を取り上げたい。
第一は「組織の歴史は変革リーダーの武器になる」という、自社の歴史を用いることで変革を実現するという記事。将来を展望する上では、ゼロから将来像を描くよりも、過去を振り返った上で将来像を描く方が、より長期に渡り、かつ多様な領域について描けるという心理学上の実験が有名だ。この知見から鑑みれば、本論考の主張は非常に理解し易いと言える。さらに、本論考では、ドラスティックな企業変革においてこうした歴史を用いることが有効であることを述べている点に注目すべきだろう。創業者の理念や行動指針といった抽象度の高い文言を用いることで、自社のあるべき姿に即したかたちで現状のビジネスを変える、というロジックで企業変革を推進できるとしている。とりわけマイランが事例として取り挙げられている点が、グローバルで競業関係にある企業に勤める身として大変興味深く読むことができた。
第二に「バーチャル・ワーク 第三の波」を取り挙げよう。『ワーク・シフト』(ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉)で著名なリンダ・グラットンの寄稿論文である。基本的には同書のさわりを扱った内容であるため、こちらの論文を読んで興味を持った方は同書を一読されることをお勧めする。改めて大事であると感じた点は、働く個人の働き方やキャリアが多様化してきている現実である。人事を担う部門の人間は、そうした多様なキャリアやワークスタイルを支援するために、従来の画一的な人事制度の運用を変更する必要が増していることに留意すべきであろう。従来、人事制度の基本は公平・公正な運用であった。その基軸をときに逸脱することが求められている現状に対してどのように取り組むか。人事としては非常に頭の痛い問題であるが、静観するわけにはいかない。
最後に「ドリーム・チームは機能するか」という記事について。優秀なタレントは個性が強すぎるために機能しないと言われることが多い。WBCでアメリカ代表が負け続けることや、2006年のワールドカップにおいて史上最強と言われた日本代表が無惨に敗退したことなど枚挙に遑がない。しかし、同じスポーツの領域においても、バルセロナ五輪で初めて結成されたアメリカにおけるバスケットボールのドリーム・チームは見事な圧勝劇で金メダルを獲得した。ドリーム・チームが空中分解しないために必要なポイントとして三つの点が挙げられている。一つめは、エゴを排除してチーム・プレイに徹する人材を集めるというメンバーの資質に関するものである。どれほどプレイが優秀であってもチームプレイができない者は排除するべきであると著者は断言する。二つめは、ドリーム・チームの中にいる相対的にパフォーマンスが低い(ただし通常では並以上のパフォーマンスを発揮するタレント)に疎外感を抱かせずに参画意識を持たせることである。三つめはリーダーの選抜に関するものである。具体的にはメンバーからリーダーへのフィードバックを頻繁に設け、場合によってはリーダーの変更も辞さないことである。
『ワークシフト』(L・グラットン著、池村千秋訳、プレジデント社、2012年)
キャリア・ドメイン(平野光俊著、千倉書房、1999年)
Luck is no accident 2nd edition(John D. Krumboltz, Impact Publishers, 2010)
“TRANSITIONS”(William Bridges, Da Capo Press, 2004)
“Creative Decision Making –Using Positive Uncertainty- ”(Gelatt, H.B. and Gelatt, Carol ,Crisp Series, 2003)
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