哲学書は難しい。その中でも『論理哲学論考』は難解だ。しかしあまりに有名な本であり、何とか少しでも理解してみたい。こうした願望に答えてくれる、『論理哲学論考』の入門書的解説本が本書である。
元々の書籍が難解なのだから平易に解説するのにも限界がある、と思うなかれ。読み応えはあるものの、理解はできるレベルである。何回か読み直しながら、「論考を理解した!」と言えるまで繰り返して読みたい良書である。ウィトゲンシュタインに挫折した全ての方に推奨したい。
世界の具体的なあり方を描き出す命題はすべて、要素命題が操作によって結合したものとして理解できる。そして、要素命題を構成する名はそれぞれ、世界のなかの何らかの対象(物)に対応する。それゆえ、「経験的な実在は、対象の総体によって限界づけられている。その限界はまた、要素命題の総体において示される」(五・五五六一節)と言いうる。(245頁)
論考は、世界の全てを対象にして哲学というアプローチで表し尽くそうとしている。そのスコープのすごさは、上記のような記述に現れている。まだ理解したとはとても言い切れない。しかし、その面白さには気づいたように思える。読み直して少しずつ理解していきたい。
【第908回】『ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。』(原田まりる、ダイヤモンド社、2016年)
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