2019年5月18日土曜日

【第956回】『通過儀礼』(ファン・へネップ、綾部恒雄・綾部裕子訳、岩波書店、2012年)


 日常用語でも「通過儀礼」という言葉を私たちはよく使う。新しい組織に入り、仲間に受け入れられ、求められる行動を取れるようになるまでに必要な経験としてのタフアサインメントを「通過儀礼」と呼んだりするだろう。この「通過儀礼」について、ポイントは三つだと結論部分で著者は端的に示している。

 (1)儀礼は分離、過渡、統合という連続形を成す。
 (2)過渡期は普遍的なものである。
 (3)社会的な身分の変化は実質的通過に擬される。

 まず、(1)では三つの過程から成るというという連続形としての構成要素を明らかにしている。次に、(2)においては、間にある過渡期という段階に着目している。その上で最後に(3)では社会的な意味での変化が実質的もしくは物理的な何らかの通過に擬せられる。

【第786回】『断片的なものの社会学』(岸政彦、朝日出版社、2015年)
【第829回】『徳川時代の宗教』(R.N.ベラー、池田昭訳、岩波書店、1996年)

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