2012年9月15日土曜日

【第108回】『指導者の条件』(松下幸之助、PHP研究所、1975年)


 松下幸之助を語るときに小学校中退という部分がフォーカスされることがある。その含意の一つとして学歴には意味がないというものがあり、それはその通りだと思う。しかし、もう一つの含意として、学ぶことに意味がないということもあるとしたら、それは大いなる誤解だ。本書を読めば分かる通り、彼は非常に勉強家であり、むしろ学校を出た後の生涯に渡る継続的な学習の必要性を彼は身をもって示していると言えるだろう。

 日本や中国や西洋の偉人の言葉を交えながら彼が述べる指導者の条件について、とりわけ感銘を受けた点を記していきたい。

<いうべきをいう>
他者に厳しいことを言うと関係性が崩れてしまうと思うことがある。しかし、いたずらに迎合して言うべきことを言わないことは、当座をしのぐことにはなれども、中長期的には望ましくない。本当にやるべきことを実現したく、相手に対して本気であるのであれば、言うべきことは言うべきである。

<きびしさ>
他者や仕事に対して厳しく当たるということは、私情のなせるものではない。相手に対してかわいそうと思ったり嫌われるのではないかと思うのは私情である。指導者が事を為すのは、指事ではなく公事なのであるから、時に厳しく接することを厭ってはならない。

<決意をつよめる>
ある時点において決意をすることは、実はそれほど難しいことではない。SNSが盛んな現代においては、決意を明らかにすることによって周囲から賞賛を得たり評価されたりすることが多いために、安易に決意をする傾向があるのではないか。決意をするということではなく、むしろ大事なのは決意を持続させるということである。

<心を遊ばせない>
睡眠を取らなければ良い仕事ができないのと同じように、ときに身体を休息させることはビジネスにおいても必要である。しかし、休息しているときに心まで休ませてはならないと著者は言う。つまり、自分にとって大事なことは常に心に留めておき、すぐにセンスできるように準備しておくことが重要である。

<小事を大切に>
大きな失敗をしたら、そのインパクトの大きさにより人は反省する。しかし、小さな失敗をしてもあまり反省しないものだろう。したがって、メンバーの小さな失敗ほど指導者はきちんと拾い、フィードバックをすることが重要である。

<世論をこえる>
通常の状態であれば、大多数が何を欲し何を重視しているのかという世論を尊重することが大事である。しかし、変事ではそうはいかない。劇的な変化の中においては、ときに世論や身近な人の意見に流されず、自分自身が必要だと思うことに殉じることも必要である。

<大事と小事>
業務において、指導者がマイクロ・マネジメントをしすぎるとメンバーは業務を行うことが窮屈になり、せっかくの創意工夫も発揮できなくなる。大事なポイントを絞り込み、其れ以外の点については大胆に権限委譲してメンバーの自主性にかけることも中長期的には重要であろう。

0 件のコメント:

コメントを投稿