2015年6月7日日曜日

【第451回】『人が育つ会社をつくる』(高橋俊介、日本経済新聞社、2006年)

 若手社員が企業で育たなくなっている、と言われることが年々多くなってきているように感じる。その背景には何があるのだろうか。著者が二〇代の若手社員に対して行った調査では、「今後も継続して働きたいと思うかどうか」という質問項目に対して、以下の三つの内容と有意な関係があったとしている。

 1 いまの仕事の充実感
 2 いまの仕事を続けることによる、今後の成長の可能性
 3 いまの会社で将来のキャリアがイメージできるか(33頁)

 こうしたアンケート調査の結果を踏まえると、成長実感ではなく、成長予感が若手社員にとって重要であると著者は指摘する。では、いかにして成長予感を若手社員に持ってもらい、成長を意識してもらうことができるのであろうか。マネジメントという観点に焦点を当てた調査の結果、以下の三点が重要であると著者は端的に述べている。

 ①チャレンジングな仕事が日常的に与えられる環境にあり、②コーチング的マネジメントスタイルがとられていて、③健全な成果プレッシャーがあれば、その職場では若手社員が育ちやすいのだ。(64頁)

 どれも個別に考えれば大事であることは自明であろう。しかし、重要なのは、三つの条件がすべて揃っていることが重要であるという著者の指摘である。三つは相互補完関係にあり、企業としては、いずれか一つを導入するということではなく、それぞれをセットで導入し他の施策との整合性を鑑みる必要がある。

 人が育つ組織を作る前提には、働く人々の多様性と、それに付随する働く人々の成長に関する多様性とが挙げられるだろう。多様な成長と多様な人々を背景に、よいキャリアの条件も変容が遂げられているとして、著者は以下の四つを規定している。

 1 日々の仕事で動機を活用している
 2 自分の仕事の意味づけ
 3 中長期的成長実感
 4 人生全体の充実とバランス(84~85頁)


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