2015年6月21日日曜日

【第455回】『非営利組織の「自己評価手法」』(P・F・ドラッカー編著、田中弥生訳、ダイヤモンド社、1995年)

 本書は非営利組織を対象として書かれたワークブックである。しかし、営利組織で働く身としても考えさせられる問いが多かった。実際、事前に問いに対して回答した内容をもとにワークショップを行ったところ、気づきを得られるものが多く、興味深い内容であった。

 ワークショップに関して、オススメの時間配分は以下の通りである。

(1)個人ワーク:事前に書いたものを整理し話す準備をする(5分間)
(2)ディスカッション:相互にシェアをする(5分間×2人)
(3)個人ワーク:気づきをメモする(5分間)
(4)ディスカッション:気づいた内容をシェアする(5分間。カットしても良い)

 したがって、一つの質問がおよそ三〇分で終わる時間配分である。

 このワークショップでの一連の問いに関するディスカッションを通じて、特に考えさせられたのは、顧客に関する二つの定義である。

 第1の顧客は、あなたの提供するサービスを受ける人々、支援してくれる顧客とは、ボランティア、寄付者、コミュニティの人々、そして理事や職員のことである。(60~61頁)

 通常、顧客という概念を聞いて思い浮かべるのは、ここでいう「第1の顧客」であろう。しかし著者は、「支援してくれる顧客」と切り分けて考える重要性を述べる。ここでは非営利組織を念頭に置いているはずであるが、営利組織においても「支援してくれる顧客」を考えることが重要だと気づかされた。つまり、「第1の顧客」に対する提供価値を最大化するためには、自分自身や自身の部署を「支援してくれる顧客」との信頼関係を強固なものにすることが重要なのである。

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