学部時代に著者の授業を受けてインターネットの可能性を学んだ身として、十数年を経て読み解いた本書でも、改めてインターネットの現時点における可能性を学ばさせられた。可能性と今後の変化について学べる意欲作にして入門書である。
いま明らかになっていることは、もう人間がみなインターネットに参加する前提で社会はできているということだ。これからつくる社会は、それを基点にして考えなくてはいけない。(Kindle No. 79)
現代におけるインターネットの新しさとは、それ自体の新しさではなく、それが前提となって形成される社会の新しさにあると著者は喝破する。いわば生活インフラとしてのインターネットを所与としていかに生活をデザインするか。
地球規模のグローバル社会と国際社会とは、決して相反するものではない。最初は別々の世界だったサイバー空間とリアル空間が、GPSの位置情報とタイムスタンプによって融合していったように、グローバル社会と国際社会も密接な関係をもって発展していくだろう。国際社会は、インターネットというグローバル社会をどのように維持し、発展させていくのか。いま議論が白熱しているグローバルガバナンスの論点は、そこにある。(Kindle No. 3092)
いままでグローバルな空間をもっていなかった人類は、インターネットという基盤によって、ようやくそれを手に入れた。インターネットの使命は、多様なセグメント、多様な人類の力を連結させることだ。(Kindle No. 3119)
国家と国家の関係からなる国際社会においては、多様な人々による関係性が鍵となる。それに対して、グローバル社会というものが存在するとしたら、そこでは統合性が鍵となる。均一化するグローバル社会と、多様化する国際社会とを統合するインフラとして、インターネットの可能性が見出される。
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