父親と息子の対話が続き、政治・仏教・家族という全く異なるテーマが同じ爼上で展開されるという壮大なストーリーが展開される。つぶさに理解することは難しいが、考えさせられる投げかけや語りに唸らさせられ、スピーディーな展開に圧倒される。
考えてもみたまえ、時代や社会の動きは早く、政治はそのつど繰り越された課題の見直しや変更を迫られる一方、政策の継続性という現実もある。産業も経済も生活も単純なスクラップ・アンド・ビルドとは行かない以上、昨日と今日の間には常にさまざまなずれが生じて止まず、有権者はそれを公約違反と言い、政治不信と言い、政治力の無さと言ったりする。かと思えば、その同じ舌がなおも当面の期待を語り、選挙期間限定の信頼を語り、自身の運命と政治家のそれを重ね合わせてみせるのだ。毎度同じことの繰り返しながら、そのつど玉座の王はどれだけの顔を使い分けることになると思う!(49~50頁)
一般市民の感覚からすると、政治家が以前の政策に固執して変化を拒む主体のように思えることは多い。だからこそ、変革や改革を叫ぶ政治組織が時にブームを起こして圧勝するという現象が生じるのであろう。
しかし、政策の継続性という重要なキーワードに私たちは意識を向けるべきであろう。企業においても同様である。性急な変革は、成功物語にもなり得るがそれは一部に過ぎないのではないか。多くの失敗は、変革という美辞麗句の下に生じているのかもしれない。
【第156回】『カラマーゾフの兄弟』(ドストエフスキー、原卓也訳、新潮文庫、1978年)
【第153回】『氷点 上・下(改版)』(三浦綾子、角川書店、2012年)
【第154回】『続・氷点 上・下(改版)』(三浦綾子、角川書店、2012年)
【第153回】『氷点 上・下(改版)』(三浦綾子、角川書店、2012年)
【第154回】『続・氷点 上・下(改版)』(三浦綾子、角川書店、2012年)
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