2018年10月13日土曜日

【第893回】『アカギ(8〜36巻)』(福本伸行、竹書房、2018年)


 以前読んでいたコミックで続刊中のものは、連載終了後にまとめて読むようにしている。ために、時折思い出したように連載が終わっていないかをチェックしている。

 『アカギ』もそのような一冊である。ついに連載が終わり、コミックの最終巻が発売されたという情報を遅まきながら知り、漫画喫茶に二日間にかけて計六時間引きこもり、読み終えた。

 『アカギ』ファンのみには通じると思うが、8巻とはいわゆる鷲巣麻雀が始まる巻である。もちろん7巻までも当時は読んでいたが、今回は鷲巣麻雀の序盤をおさらいとして読み直して、最終巻まで読み進めた。(悪友と麻雀を打つと、白をツモるたびに「きたぜ、ぬるりと」と言い合っていた身としては市川戦も読み直したかったのであるが)

 主人公・赤木しげるが鷲巣巌と対峙し、自らの血液を賭けて鷲巣の全財産を奪うべく、命を賭してもなお冴え渡る赤木の闘牌に魅了される。六回の半荘に二十年以上も掛けながらも、スピーディーな展開はすごい。

 命を賭けた闘牌でありながらも、福本ファンの多くは、『天 天和通りの快男児』で年齢を重ねた赤木が登場することを知っている。したがって、死ぬことはないのだろうなという予定調和を予期しながら読み進めざるを得ない。

 となると、どのように著者は作品を終わらせるのか、に私たちの興味は向かう。まさかパラレル・ワールドだったことにして、赤木が死に迎えることもあるのかとまで考えた。

 ネット上では終わり方に否定的な意見も多いようであるが、上述したように結末における制約が大きい中では、綺麗な終わり方であり、個人的には嫌いではない。麻雀に負けながらも、勝負に徹して勝利を得た、という、赤木らしいリアリティのある勝負勘・人生観と言える。

【第824回】『アオアシ』【第1巻〜第12巻】(小林有吾、小学館、2015年〜)
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