2015年10月26日月曜日

【第506回】『ロスジェネの逆襲』(池井戸潤、ダイヤモンド社、2012年)

 半沢の熱さに感銘を受けた第三作。逆境を逆境と捉えず、目の前の人間に対して貢献しようとする誠実な態度こそが、半沢の強さであり、それが機会を自ら創り出すことに繋がったのではないだろうか。

 「オレにはオレのスタイルってものがある。長年の銀行員生活で大切に守ってきたやり方みたいなもんだ。人事のためにそれを変えることは、組織に屈したことになる。組織に屈した人間に、決して組織は変えられない。そういうもんじゃないのか」(172~173頁)

 「だけど、それと戦わなきゃならないときもある。長いものに巻かれてばかりじゃつまらんだろ。組織の論理、大いに結構じゃないか。プレッシャーのない仕事なんかない。仕事に限らず、なんでもそうだ。嵐もあれば日照りもある。それを乗り越える力があってこそ、仕事は成立する。世の中の矛盾や理不尽と戦え、森山。オレもそうしてきた」(213頁)

 「仕事は客のためにするもんだ。ひいては世の中のためにする。その大原則を忘れたとき、人は自分のためだけに仕事をするようになる。自分のためにした仕事は内向きで、卑屈で、身勝手な都合で醜く歪んでいく。そういう連中が増えれば、当然組織も腐っていく。組織が腐れば、世の中も腐る。わかるか?」(367頁)

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