2016年7月10日日曜日

【第595回】『高校生の勉強法』(池谷裕二、ナガセ、2002年)

 脳科学者による勉強法に関する書籍。効率的に学ぶという側面もゼロではないが、たのしみながらいかに学びを深めるかということが書かれた良書である。中学生や高校生を持つ親に読んでほしい一冊だ。

 記憶するという行為には、いくつかの種類があり、それぞれに適した年齢や方法が存在する。したがって、あるタイミングまで通用した学習法が、年齢が上がるとともに通用しなくなるということがある。つまり、人間の記憶のメカニズムを理解することによって、ある状況において適した学習の方法に調整し、学習をたのしいものにすることが可能となるのである。

 学習とは「ものごとの関連に気づくこと」だと言えますね。今まで独立していた事象が、頭の中でつながることが学習の正体なのです。(94頁)

 今学んでいるものが既存の知識と何らかの形で関連を持つことに気づくことは知的な喜びである。そして、それが学習することの意味の大きな一つを占めるという著者の指摘は納得的である。加えて、このように解釈すれば、学習というものの持つ苦しいものというイメージを覆すことが可能なのではないだろうか。


0 件のコメント:

コメントを投稿