荘子をたのしみたいが、なかなか内容が入ってこない。何冊か読んでもその状況が改善されず苦労している。カジュアルな解説本であり、エッセーに近い本書は、荘子に対して新しいアプローチを試せるいい機会だった。
感情をぶつける相手がいなければ、「私」という人格すらなくなってしまう。「私」がいなければ、そもそも感情すら湧きようがない。喜怒哀楽も不安や悲しみも、それらが変化することも、すべて「自然」の流れなのだから、気にする必要はない。ムリに感情を押し殺そうとするほうが、よほど不自然な生き方だ(37頁)
内篇・斉物論第二の「非彼無我、非我無所取。」を取り上げた一節。感情を抑制しないと、感情が自身の言動に影響を与えてしまう。だからコントロールするべきである、と考えてしまいがちだ。
もちろん、感情が言動に影響を与えてしまうのは良くない。しかし、感情を持つこと自体は悪いことではなく、それを押し殺そうとすることには無理が生じてしまう。言動に影響を与えない状況、つまり感情を感情そのものとして受け止めること。これを心しておきたいと思った。
【第968回】『このせちがらい世の中で誰よりも自由に生きる』(湯浅邦弘、宝島社、2015年)
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