2015年12月5日土曜日

【第523回】『現代語訳 史記』(司馬遷、大木康訳、筑摩書房、2011年)

 古来の歴史書から現代の私たちが何を学べるか。著者は、史記を大胆に現代に即した言葉遣いと形式で解説を加える。中国史を彩る英雄や彼等を取り巻く多様で特色のある人物たちの息遣いから、読者の観点に応じて感じ取れるものがあるだろう。

沛公「いま退出する時、別れの挨拶をしてこなかった。どうしたらよかろう。」樊噲「『大きな行動のためには、小さなことを気にしなくてもよい。大きな礼を行うためには、小さな謙譲などどうでもよい(大行は細謹を顧みず、大礼は小譲を辞せず)』といいます。いま、相手は刀と俎、われわれは魚肉です。どうして挨拶する必要などありましょう。」(89頁)

 有名な鴻門の会のシーンの一部の描写である。謙譲を重んじながら、礼を重視する。どちらも大事であることと、究極の状況においては礼を重視せよ、ということであろうか。改めて『項羽と劉邦』を読みたくなった。


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