2018年12月8日土曜日

【第910回】『チーム・ダーウィン』(熊平美香、英治出版、2008年)


 ピーター・センゲが提唱した学習する組織は、決して難しい考え方ではない。しかし、平易すぎてSo what?という印象にもなりかねない。本書では、簡潔な理論を、ストーリーを通じて、噛み砕いて理解させてくれる。

 学習する組織の五つの段階をおさらいしてみよう。本書の113頁で、ポイントを具体的に「学び・進化する組織の5つの原則」として挙げている。

1)俺たちは、何を実現したいのか【個人ビジョン・いきがい】
2)俺たちは、誰と実現するのか【共有ビジョン・仲間】
3)俺たちは、どう学ぶのか【チーム学習・問題解決】
4)俺たちは、世界をどう理解しているのか【メンタルモデル・世界観】
5)俺たちは、何を解決したいのか【システム思考・複雑な世界の仕組みを解明する】

 主人公のコーチ役が書いたメモは、リアリティのある言葉でいいなと感じる。

 物語の展開は全体的には面白い。ただ、少しもったいないのは、合宿というオフサイトでの成果があまりに過大に描かれているところである。

 もちろん、オフサイトの意義を否定するわけではない。サードプレイスでのオープンな学びは重要であり、日常とは異なる気づきを他者と共創・共有することができる。しかし、学習する組織や組織開発といったアプローチを好む一部の人々は合宿を万能なものとして過大評価しすぎのようにも思えるのだがいかがだろうか。

 こうした懸念を払拭してくれているのが、主人公がモノローグとして学びを最後にまとめている箇所である。リーダーの心得の一つとして「他者から学び、自らの考えを変えていく」(285頁)としている点は抑制が効いている。

 一つの理論や考え方を絶対的なものとして捉えるのではなくオープンであること。これが「学習する組織」をファシリテートするリーダーに求められる態度なのであろう。

【第109回】『U理論』(C・オットー・シャーマー、英治出版、2010年)


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