2019年1月20日日曜日

【第923回】『ビジネスエリートの新論語』(司馬遼太郎、文藝春秋社、2016年)


 著者が亡くなられて十数年後に出版されたためか、出版社サイドの付けたタイトルに品位を感じられなずに気になりながら読まず嫌いだった一冊。

 「論語」をタイトルで語っておきながら論語はあまり扱われていない点は差し引くとしても、著者のエッセーとして割り切れば面白い。とりわけ新聞記者時代の若い時分の著者が何を考え、何を論じようとしていたかを勝手に想起しながら読むと興味深かった。

 運命は、神の考えるものだ。人間は人間らしく働けばそれで結構だ。(139頁)

 出典は残念ながらわからないのだが漱石の言葉らしい。努力をすることは大事だし、目的に向かおうとすることも大事だろう。しかしその結果に固執するのではなく、結果は神に委ね、うまくいったら運命のおかげにし、私たちは自分自身の営為に集中する。考え方として健康的であり、結果に一喜一憂せずに済む。

【第518回】『すらすら読める論語』(加地伸行、講談社、2005年)
【第340回】『ドラッカーと論語』(安冨歩、東洋経済新報社、2014年)
【第92回】『論語』(金谷治訳注、岩波書店、1963年)

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