2014年7月12日土曜日

【第305回】『発展コラム式 中学理科の教科書 第1分野(物理・化学)』(滝川洋二編、講談社、2008年)

 本書は、中学の検定教科書における物理と化学分野の内容を要約し、そこから発展させた内容を簡潔にまとめた、さすがはブルーバックスと言いたくなる意欲作である。中学の理科は理解していたように記憶していたが、忘れている部分もあった。また、中学時代に暗記に頼り過ぎた結果、本質を理解していない部分もあった。そうした部分を気軽に学び直す上で、非常に役に立つ書籍である。以下から述べる所感は、自分への学びの備忘録であることをご理解いただきたい。

 音波の山と山の間隔が狭まれば振動数は多くなり、音は高くなります。音階でいうと、救急車の速さが時速50~60kmの場合、だいたい半音高くなります。逆に進行方向の後ろ側では、振動数が少なくなって、音は半音低くなります。
 このように、運動している物体から出る音の振動数が、進行方向の前方と後方とで変化する現象が音のドップラー効果と呼ばれるものです。
 音源のほうが運動するのではなく、音を聞く側が運動している場合も、ドップラー効果は起こります。電車に乗って踏切を通過するとき、踏切の警報音の高さが変化して聞こえるのがその例です。(72頁)

 ドップラー効果については、なんとなく学んだ気もするが、音波との関連できちんと理解していなかった。こうして読み直すと、説明できるレベルにまで理解できる。

 そこで新たに提起されたのが、有機物に共通して含まれている「炭素」に注目し、炭素を含んでいる(骨格とする)物質を有機物とするという定義です。(120頁)
 有機物の種類は多様ですが、どれも炭素原子でできた骨格に他の原子が結びついてできていることから、共通の性質が見られます。検定教科書のエッセンスでふれた「熱すること、こげて炭(炭素)になったり、二酸化炭素が発生したりする」という性質は、有機物が炭素の骨格からできているためにもつ性質です。(122頁)

 大変恥ずかしながら、医薬品業界にいながら、有機物(有機化合物)の定義として炭素が含まれている物質ということを失念していた。研究開発に従事する同僚の会話に有機という単語自体がよく出てくることはあるが、その内実を理解していなかったのである。

 O原子を「酸素」と表現しますが、これは質量保存の法則の提唱者であるラボアジエが、硫酸などに酸素が含まれていることから酸の素と勘違いして命名したことによります。酸性を示すのは、正しくはH+イオン(水素イオン)だったのです。(372頁)

 酸性を示す物質が共通して保有するのは水素イオンであり、アルカリ性の物質が共通して持つのは水酸化物イオンである。そう書かれている部分を読むとそうだったように思えるが、今さら他の人に聴きづらい基礎的なことである。

Newton別冊「わかる時空」(ニュートンプレス、2010年)

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