経営層に近い人々と仕事で一緒になるケースが増えてきたからか、企業を数値で表す話題が増えてきた。学部でも大学院でも会計やファイナンスを学んできたため、どこかで「数字を扱うのは得意」という意識があった。
しかし、そうした意識が、会計や財務を学び直す必要はないという頑なな態度につながってしまっていたことに、遅ればせながら気づいた。なんのことはない、パッと数字を見てみても、その含意が分からないのである。これはまずいと思い、しばらくは改めて初歩から学び直す機会にしようと思った。
その第一弾が本書である。基本に忠実に、薄い新書から選んでみた。基礎から学ぶという観点ではベストな一冊であった。
会計とファイナンスとの違いについて、端的に二つを挙げている。一つ目は、会計は「利益」を扱い、ファイナンスは「キャッシュ」を扱う(14頁)という対象の相違である。二つ目は、会計が企業の過去の業績を扱うのに対して、ファイナンスは企業が将来において生み出すキャッシュフローという未来の数字を扱う(17頁)という時間軸の相違である。細かな内容について学ぶ前に、こうした大枠での内容を説明してくれる書籍というものは、入門書として大変ありがたい。
貸借対照表における借方と貸方を整理した図3(22頁)も、極めて初歩的な内容ではあるが、だからこそ改めて質問しづらい部分であり、重宝しそうだ。
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