2019年7月21日日曜日

【第970回】『ランニングする前に読む本』(田中宏暁、講談社、2017年)


 一年前の私、つまりフルマラソンに向けて準備を進めハーフマラソンを目指していた頃の自分に読ませたかった本である。マラソン初心者にとって、具体的な方法や留意点が述べられており、頭で理解した上で走りたいランナーにとって適した書籍である。

 いま読んでも唸らさせられる箇所が多い。自分にとっての気づき・学びとなったところを中心に、将来の自分への備忘録として述べていく。

 まず驚いたのが、マラソンのレース中に水を飲みすぎることで引き起こされる低ナトリウム血症である。具体的には「体重がスタート前よりも重くなればなるほど発症率が高くなる」(190頁)と指摘している。ではどのようにすれば適切な水分摂取量を測ることができるのか。

 レース1週間前に10~15kmほどの距離を水分摂取せずに走って、その前後で体重がどれだけ減少するか測定してみてください。その体重減は、ほぼ水分の喪失によるものですので、走るときの水分摂取量は、レースの距離に換算したその喪失量未満に抑えるようにします。それがレース中に必要な水分摂取量ですから、事前に確認しておきましょう。(192頁)

 次にグリコーゲンローディング(カーボローディング)について。炭水化物をレース前に食べ続けるだけではない。

 レース3日前に長い距離(20~30km)を走り込むことをおすすめします。いったん、筋肉中のグリコーゲンを枯渇させることが目的です。
 そのために、走る30分ぐらい前に糖分を摂取します。そうするとインスリンが分泌されて、運動中の脂肪のエネルギー供給が阻害されますから、より多く筋肉中のグリコーゲンが使われます。長い距離を走り込むといっても、20~30kmを継続して走り続ける必要はなく、細切れ運動で構いません。(196頁)

 しかし「前日に走ることでプラスになることはまずあり得ません」(198頁)としている点には注意したい。前日は休むに限るのである。

 グリコーゲンローディングの食事におけるポイントも見ておく。

 炭水化物食を3日間摂取すると、2日目までは筋肉のグリコーゲン量は急増しますが、3日目にはほとんど増えません。すなわちレース当日は、筋肉のグリコーゲンは満タンでそれ以上増やせない状態です。(201頁)

 つまりレース三日前からは炭水化物食にすることが勧められている。具体的には日本食で行うことが有効であるとして、お餅、ご飯、うどん、蕎麦、和菓子を推奨し、著者は食後に好んで大福を食べるとしている。

 レース当日の朝は、炭水化物をとっても増やせないので炭水化物は最低限、たとえばご飯一膳程度で良いようで、著者は、ハンバーガーとポテトといった塩分を取るようにしているらしい。その上でレース直前にはゼリー状のエネルギー補給用飲料を飲んでいる。

 以下の箇所は、黒部名水マラソンの時の自分に言い聞かせたい。

 ペースをうまく守ってはしれたとしても30km過ぎてからつらくなる場合は、脳の疲労が主な原因と考えられます。それは低血糖から起こるものですから、乗り越えるためには、糖分の補給をするとよいでしょう。積極的に糖分を補給して血糖値を維持することが、脳疲労を起こさない予防手段につながるからです。
 そうした理由からも、レース中の捕食は、血糖値を維持するために有効です。
 レース直前に糖分を摂取することをおすすめしましたが、それによって走り出して10kmほど血糖レベルを高く保つことができます。レース中の捕食はそれ以後に、1時間毎に消化吸収の速い捕食ゼリータイプのもの(糖40~50g)を摂取するとよいでしょう。(205~206頁)

 最後にレース後の休息期間について。

 休息も大事なトレーニングです。次の練習再開は少なくとも1週間休んで、走りたいとの気持ちが高まるまで待ちましょう。(210頁)

【第868回】『マラソンの強化書』(小出義雄、KADOKAWA、2015年)
【第165回】『走ることについて語るときに僕の語ること』 (村上春樹、文藝春秋社、2007年)

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