トマ・ピケティを読まねばと思いながらも、その厚さに恐れをなして避け続けてきた。Twitterでも興味深く拝読させていただいている著者が書かれた入門書を思い出し、今回、まずは手軽に勉強するために読んだ次第である。学部時代の初期は、経済学、特にマクロ経済学を好んで学んだものであるが、月日が経つのは恐ろしいもので、概念的な整理の部分から失念している。そうした初学者として臨んだ状態で学んだものを記していく。
資本主義では歴史的に所得分配の格差が拡大する傾向があり、それは今後も続くだろうということです。(12頁)
これが著者による『21世紀の資本』の要約である。続けて、あまりに有名な「r>g」という不等式についても簡潔明瞭にポイントを述べてくれている。
「資本家のもうけが一般国民の伸びより大きく増えるので格差が拡大する」という意味です。おまけに資本ストックは蓄積されて相続されるので、資産の格差はますます広がります。(15頁)
では、こうした資本主義が抱える根本的な構造に因る事象をどのように解決することが私たちに可能なのか。
ピケティが提案するのは、グローバルな累進資本課税と、世界の政府による金融情報の共有です。しかしそれを実施するには、世界の主要国がきわめて高いレベルの国際協調を実現し、税率やその分配方法などについて合意する必要があり、今のところそれが実現する見通しはまったくありません。(75頁)
ここで述べられている累進資本課税とは何か。最後に著者は、その意義を述べて本書を締め括っている。
資本課税は、それに比べるとずっと控えめな改革です。それは資本主義と所有権を守りながら、r>gの生み出す危険な結果を防ごうとするものです。それは21世紀のグローバル資本主義をコントロールするための新しい制度です。その目的は所有権を尊重して個人の権利を守ることであって、所得の再分配ではないのです。(77頁)
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