2016年10月8日土曜日

【第628回】『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』(林總、ダイヤモンド社、2006年)

 学びたいと思った時こそが学び時とはよく言ったものである。企業全体に関わる会計数字をもとに自社のビジネスを本気で考えたいと思う方にとって適した書である。ストーリーの面白さとともに、たのしく会計の基礎を学ぶことができるだろう。

 会計はだまし絵であるというメイン・メッセージを提示し続けながら、決算書とは、データに基づきながら主観的な解釈によってルールに則って作成されていることが解説される。決算書の背景やそこに込められた経営者の考え方を、基礎的な会計の知識をもとに読み解かれている。

 PDCAサイクルが有効に機能するには、予算と実績の背後にある現場レベルでの「計画した作業」と「実際の作業」を比較することが肝心なのだ。(88頁)

 繰り返しとなるが、決算書は、事実とルールに基づきながら経営者の主観によって作成されたものである。しかし、そうであるからこそ、書かれた内容をもとに分析と解釈をすることが可能だ。決算書という結果としての数字から、意味を見出そうと分析することで、現場で起きている事象の背景を理解できる。


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