2016年10月16日日曜日

【第632回】『コハダは大トロよりなぜ儲かるのか?』(林總、ダイヤモンド社、2009年)

 『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』『美容院と1,000円カットでは、どちらが儲かるか?』に続くシリーズ第三弾。ビジネスフィクションものの宿命ではあるが、立て続けに困難な出来事が訪れ、それに立ち向かう主人公たちがかわいそうにも思える。

 しかし、その戦いの様を読み込むことで、私たちが仮想的に主人公たちが直面している環境を追体験し、そこから学べるのだからありがたいものだ。

 いいかな。君がこれまでに学んだ知識は、会計の先人たちが長い歳月をかけて考えたもので、君が努力して考え出したものではない。借り物に過ぎないのだよ。大切なのは、管理会計理論を、君の経験を通して理解することだ。その過程で、いろんなことが見えてくる。管理会計がいかに素晴らしいか。そして、いかに欠陥だらけか、ということもね。経験を積むことで、先人の知識は君の血肉になる。君の価値観になるのだ(31頁)

 論語の「学んで思わざれば即ち罔し。思うて学ばざれば即ち殆うし。」(為政第二・一五)を彷彿とさせられる。何かを学ぶということは、考えることとセットであり、それは体験をしてそこから内省して腹に落とすことを含むのである。

 利益と営業キャッシュフローのねじれの原因は「運転資本の増加」です。(165頁)

 極めて個別具体的な内容であるが、現在興味があるテーマに直結するものであるため、備忘録的に引用しておいた。
【第170回】『戦略不全の論理』(三品和広、東洋経済新報社、2004年)
【第248回】『経営戦略の論理(第4版)』(伊丹敬之、日本経済新聞社、2012年)
【第573回】『経営戦略を問いなおす』(三品和広、筑摩書房、2006年)

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